コラム
【価格別】建売の諸費用の目安は?支払いタイミング別に必要な項目を解説

建売住宅を購入する場合、購入価格に加えて諸費用が必要です。支払いのタイミングは、購入前、購入時、住宅ローン利用時であり、それぞれ必要な費用・金額が異なります。
諸費用の支払い方法は原則現金のため、建売住宅購入を検討する段階で資金を準備しておく必要があるでしょう。そのため、具体的に何にどのくらいの金額が必要かを知っておくことが重要です。
本記事では、建売住宅を購入する際に必要な諸費用と目安の金額を解説します。物件価格別に諸費用の例をまとめたので、どれくらいの諸費用が必要かが知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。
諸費用の目安はどのくらい?相場をチェック

諸費用とは、物件を購入する際に物件の購入価格以外に必要となる費用のことです。建売住宅の場合、購入価格の「6〜9%程度」が目安と言われています。
【計算例】
● 3,000万円の建売住宅を購入する場合:3,000万円×6%〜9%=180万円〜270万円(目安)
諸費用は原則自己資金(現金)で支払うことになるので、まとまった金額を用意する必要があります。
なお、建売住宅以外の物件を購入する場合、諸費用の割合は以下の通りです。
家を購入する方法 | 諸費用の目安 |
---|---|
注文住宅で土地から購入する | トータルコストの10~12% |
土地を持っていて建物を建てる | 建築費の3~6% |
建売住宅を購入する | 購入価格の6~9% |
支払いのタイミングと諸費用の内訳や目安
建売住宅の購入の際、支払いのタイミングや諸費用の内訳を事前に把握することが重要です。
- 購入前
- 購入時
- 住宅ローン利用時
上記の3つに分けて詳しく紹介します。
契約時に必要な諸費用とそれぞれの目安
契約時にかかる諸費用は、主に以下の2つです。
諸費用 | 概要 |
---|---|
手付金 | 売買契約の成立を前提として、正式な契約の前に買主が売主に対して取引金額の一部を現金で支払う費用 |
印紙税 | 不動産売買契約書の文章を作成した場合に、印紙法に基づき課税される税金 |
それぞれどのくらいの費用がかかるかを具体的に解説します。
手付金
手付金とは、売買契約の成立を前提として、正式な契約の前に買主が売主に対して取引金額の一部を現金で支払う費用のことです。流れとしては、購入希望者が売主に「物件価格の5〜10%」に相当する手付金を購入前に預けます。万が一キャンセルした場合に、手付金として預けたお金を放棄するという形式が取られるのが一般的です。
不動産の売買契約では、契約の締結後すぐに代金の支払いと物件の引渡しが行われるわけではありません。そのため、支払いが行われるまでの間は双方ともに不安定な状態であるといえます。この不安定な状態を法的関係で守るために、手付金を支払うのです。
売主から購入をキャンセルする場合、購入希望者に対して手付金の倍額を支払うのが一般的です。また、契約がスムーズに進めば、手付金は最終的に物件の購入代金に充てられます。
ここでは手付金を諸費用として紹介しましたが、場合によっては諸費用に含めないで考えるケースもあるので、売主に確認を取りましょう。
印紙税
印紙税とは、不動産売買契約書を作成した場合に、印紙法に基づき課税される税金のことです。課税額は、契約金額により異なります。不動産取引における印紙税は、期限付きで軽減措置が適用されます。本来の金額とどのくらい異なるかを比べてみましょう。
契約金額 | 印紙税額 | 軽減税率後の税額 |
---|---|---|
500万円〜1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円〜5000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5000万円〜1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円〜5億円以下 | 10万円 | 6万 |
(出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」)
※軽減措置は2027年3月31日まで
不動産取引の契約書は、一般的に取引の両者が同じ契約書を保持します。そのため、2通の契約書それぞれに印紙税が必要です。2通作成する場合は、売る側・買う側の双方で1枚ずつ負担することが多いですが、どちらが負担するかもあわせて確認しておくと安心です。
不動産取引は高額なため、印紙税も安いものではありません。そのため、2013年頃から軽減措置の適用対象となっています。2027年3月末の期間満了前に延長されるかどうかが決まるので、住宅購入の際は、軽減措置が施行されているかもあわせて確認しましょう。
決済時(所有権移転時)に必要な諸費用とそれぞれの目安
建売住宅を購入する際も、諸費用が発生します。費用の項目と計算方法は、以下の通りです。
費用の項目 | 内容 | 計算方法・金額の目安 |
---|---|---|
仲介手数料 | 不動産会社に支払う成果報酬 | 物件価格×3%+6万円+消費税が上限 |
不動産所得税 | 不動産取得税時に発生する税金 | 0円〜固定資産税評価額の3% |
登録免許税 | 登記に必要な税金 | 固定資産税評価額の0.1〜2% |
司法書士への依頼料 | 登記代行の依頼料 | 約10万円 |
住宅ローン、事務手数料ローン手数料 | 金融機関に支払う手数料 | 3万~65万円 |
住宅ローン保証料 | 保証会社に支払う手数料 | 借入額の0.5~2%程度 |
物件調査料 (フラット35などを利用するとき) |
物件が融資基準を満たしているか調査する際の依頼料 | 6万~8万円程度 |
火災保険料 | 住宅ローン利用時に必須となる場合が多い | 契約内容によって異なる |
ここでは、費用項目の詳細について詳しく解説します。
仲介手数料
建売住宅は不動産会社の仲介によって購入する場合が多く、仲介手数料が発生することが多いです。金額は会社により異なりますが、上限が決まっています。取引金額が400万円を超える場合には「物件価格×3%+ 6万円+消費税」が上限です。
例)500万円の物件を購入した場合の仲介手数料の上限
500万円×3%+6万円+消費税=231,000円
なお、ハウスメーカーや売主などから直接購入する場合、仲介手数料は発生しません。
不動産取得税
不動産取得税とは、不動産を購入するときに発生する税金のことです。購入してしばらくすると、自治体から納税通知書が届きます。一方、建売住宅の場合、軽減措置の関係で不動産取得税が発生しない場合もあるので、条件を把握しておくと良いでしょう。
不動産取得税がかからない建売住宅の物件は以下の通りです。
建物 | ・床面積が50㎡以上240㎡以下 ・固定資産税評価額が1,200万円以内(長期優良住宅は1,300万円以内) |
土地 | ・土地の面積が200㎡以内かつ「土地の面積 ≦ 建物の床面積 × 2」 |
※適用期限:2027年3月31日まで
(出典:国土交通省「不動産取得税に係る特例措置」)
上記の条件を考慮すると、建物部分の販売価格が2,400万円以内であれば、不動産取得税は非課税になります。新築住宅の固定資産税評価額は販売価格の約50〜70%が目安であることも加味すると、一般的な価格帯の物件は不動産取得税はほぼかからないといえるでしょう。
また、建売住宅は土地の面積に対して無駄なく建てることが多いため、土地も非課税になるケースがほとんどです。
もし、不動産取得税がかかる場合も、住宅取得時の負担額軽減による住宅取得・流通の促進を図るため、税率が4%から3%になるよう軽減措置が適用されます。
登録免許税・司法書士への依頼料
建売住宅を購入した際、所有権移転登記の手続きが必要です。手続きを行うとき、土地と建物のそれぞれに登録免許税が発生します。
税額は土地と建物のそれぞれに対して「固定資産税評価額×税率」で計算した額が必要です。条件によっては、以下のように軽減税率が適用されます。
登記の種類 | 本則税率 | 軽減措置 | ||
---|---|---|---|---|
一般住宅 | 特定長期優良住宅 | 認定低炭素住宅 | ||
所有権移転登記 | 2.0% | 0.3% | 0.2% | 0.1% |
(出典:財務省「登録免許税に関する資料」)
司法書士への依頼料は、登記手続きを依頼するときの代行手数料として10万円前後必要だと覚えておきましょう。
住宅ローン、事務手数料・保証料
住宅ローンを利用する際は、金融機関や保証機関に対して手数料が発生します。手数料の名称は金融機関によって「事務取扱手数料」「融資手数料」などさまざまです。また、金額も機関により異なるため、手数料がどのくらいかかるか事前に把握しておきましょう。
ローン保証料はその名の通り、ローン返済を保証するための費用で、一般的に借入額や返済期間に応じて金額が決定されます。費用の支払い方法
は、ローン契約時に一括で支払う場合と、金利に含めて分割で支払う場合の2パターンあります。
仮に諸費用が安くても、金利が高ければ最終的なコストは高くついてしまうので、総返済額を考慮したうえで支払い方法を選択することが重要です。
火災保険料・地震保険料
住宅ローンを借りる際は、火災保険への加入が必須です。火災保険は災害による建物の損害を補償するもので、多くの場合、10年分の保険料を一括で支払います。支払い金額の目安は、20万〜50万円程度です。
地震保険を追加で契約することも可能なので、必要に応じて選択すると良いでしょう。保険料は補償内容や契約期間によって異なるため、内容をよく検討して選ぶことが大切です。
建売住宅の諸費用を計算シミュレーション|価格別に解説

前述の通り、建売住宅を購入する場合、土地と建物を購入する以外にも多くの諸費用がかかります。諸費用がどのくらい必要かをイメージできるよう、以下5つを価格別にシュミレーションをしてみました。購入の際の参考にしてください。
- 2,000万円
- 2,500万円
- 3,000万円
- 4,000万円
- 5,000万円
2,000万円|建売住宅の諸費用
2,000万円の建売住宅を購入した際、どのくらいの諸費用が必要かを以下の表にまとめました。
【条件】
- 住宅ローン借入金額:1,800万円〜1,900万円
- 住宅ローンの保証料は毎月の支払いの金利に上乗せされる(諸費用には含まない)
- 住宅ローンの借入金額:頭金なしのフルローン
- 不動産取得税はかからないものとする
- 登録免許税は一般住宅に該当するものとして計算する
契約時に必要な費用 |
・手付金:100万円~200万円 合計:101万円〜201万円 |
決済時(所有権移転時)に必要な費用 |
・仲介手数料:66万円 合計:約96万円 |
・印紙税:2万円 合計:約84.5万円 |
|
諸費用の総額 | 約281.5万円〜381.5万円 |
諸費用は、手付金を含め300〜400万円ほど用意しておくと安心です。
+500万円して2500万円にするとなるとどうなる?
+500万円した「2500万円」の場合、諸費用がどのくらい変わるのかも見てみましょう。
【条件】
- 住宅ローン借入金額:2,250万円〜2,375万円
- 住宅ローンの保証料は毎月の支払いの金利に上乗せされる(諸費用には含まない)
- 住宅ローンの借入金額:頭金なしのフルローン
- 不動産取得税はかからないものとする
- 登録免許税は一般住宅に該当するものとして計算する
契約時に必要な費用 |
・手付金:125万円〜250万円 合計:126万円〜251万円 |
決済時(所有権移転時)購入時に必要なの諸費用 |
・仲介手数料:82.5万円 合計:112.5円 |
・印紙税:3万円 合計:96万円 |
|
諸費用の総額 | 約334.5万円〜459.5万円 |
物件価格2,000万円のときとの差は、約50万円〜80万円とわかりました。
3,000万円|建売住宅の諸費用
建売住宅の購入額は、3,000万円台が多く、平均的な価格帯といえます。
【条件】
- 住宅ローン借入金額:2,700万円〜2,850万円
- 住宅ローンの保証料は毎月の支払いの金利に上乗せされる(諸費用には含まない)
- 住宅ローンの借入金額:頭金なしのフルローン
- 不動産取得税はかからないものとする
- 登録免許税は一般住宅に該当するものとして計算する
契約時に必要な費用 |
・手付金:150万円〜300万円 合計:151万円〜301万円 |
決済時(所有権移転時)購入時に必要な費用 |
・仲介手数料:99万円 合計:129万円 |
・印紙税:3万円 合計:106.5万円 |
|
諸費用の総額 | 386.5万円〜536.5万円 |
諸費用は、400万円〜550万円ほど用意しておくと良いでしょう。
4,000万円|建売住宅の諸費用
4000万円は、首都圏や近畿エリアの平均購入金額に相当します。
【条件】
- 住宅ローン借入金額:3,600万円〜3,800万円
- 住宅ローンの保証料は毎月の支払いの金利に上乗せされる(諸費用には含まない)
- 住宅ローンの借入金額:頭金なしのフルローン
- 不動産取得税はかからないものとする
- 登録免許税は一般住宅に該当するものとして計算する
契約時に必要な費用 |
・手付金:200万円〜400万円 合計:201万円〜401万円 |
決済時(所有権移転時)購入時に必要な費用 |
・仲介手数料:132万円 合計:162万円 |
・印紙税:3万円 合計:127.5万円 |
|
諸費用の総額 | 490.5万円〜690.5万円 |
諸費用は、490万円〜690万円ほど用意しておくと安心です。
5,000万円|建売住宅の諸費用
固定資産税評価額2400万円以下の場合でシミュレーションすると、諸費用の目安は以下の通りです。
【条件】
- 住宅ローン借入金額:4,500万円〜4,750万円
- 住宅ローンの保証料は毎月の支払いの金利に上乗せされる(諸費用には含まない)
- 住宅ローンの借入金額:頭金なしのフルローン
- 不動産取得税はかからないものとする
- 登録免許税は一般住宅に該当するものとして計算する
契約時に必要な費用 |
・手付金:250〜500万円 合計:201万円〜401万円 |
決済時(所有権移転時)購入時に必要な費用 |
・仲介手数料:165万円 合計:195万円 |
・印紙税:3万円 合計:148.5万円 |
|
諸費用の総額 | 609.5万円〜859.5万円 |
諸費用は、610万円〜860ほど必要であるとわかります。物件の固定資産税評価額が2400万円を超える場合は、上記に加えて不動産取得税が発生する点は注意が必要です。
諸費用の目安にバラつきが出るのはなぜ? 安く抑えるコツは?
建売住宅の諸費用は、物件や契約内容によって異なる場合があります。なぜなら、住宅ローン手数料や保険料などの諸費用は、金融機関や保険会社などにより変動するためです。
ほかにも、補助金の有無や減税制度の適用状況なども諸費用にばらつきが出る要因といえます。諸費用をできるだけ抑えるには、各費用の詳細を把握することはもちろん、見積もりを比較することが重要です。
ここでは、諸費用の差が生じやすい以下の項目において、目安の金額にバラつきが出る理由と費用を抑えるための具体的なコツを解説します。
- 住宅ローン関連手数料
- 生命保険・火災保険料
住宅ローン関連手数料
住宅ローン関連手数料は、金融機関によって異なります。そのため、いくつかの金融機関を比較することで、費用を抑えられることも。
ただし、手数料が安くても金利が高ければ、最終的な返済額が増える可能性がある点には注意が必要です。見積もり比較の際は、総返済額を含めてトータルコストを比較することで、最適な選択ができるでしょう。
生命保険料・火災保険料
保険料は契約内容や補償範囲により異なります。また、同じ保証内容でも会社により金額に差がある場合もあります。そのため、契約する企業やそれぞれのプランを比較することで、費用を抑えられるかもしれません。
補償内容によって価格が変動するので、加入内容をしっかり確認し、無駄のない補償を選ぶことが大切です。また、支払い方法を月払いや年払いではなく、一括払いに選択することで費用を抑えられることもあります。
仲介手数料
仲介手数料には上限が設定されていますが、下限は定められていないため、交渉次第で費用を抑えられる場合があります。ただし、仲介手数料は不動産会社の業務に対する対価であり、過度な値引き交渉はサービスの質に影響を与える可能性があるため注意が必要です。
住宅ローンで諸費用も借りることは可能?
通常、諸費用は現金での支払いが原則のため、手持ち資金が不足している場合には事前に対策が必要です。方法としては、諸費用の借り入れが含まれた住宅ローン、もしくは「諸費用ローン」を利用することが挙げられます。
しかし、諸費用を借りることで金利が上昇する可能性や、返済能力に不安があると判断されて審査に落ちるリスクがあるため注意が必要です。
まとめ

建売住宅を購入する際は、物件購入にかかる金額以外にもさまざまな諸費用が発生します。本記事では、建売住宅を購入する際に必要な諸費用を紐解いたうえで、価格別に必要な諸費用の目安を解説しました。
建売住宅の場合、諸費用の目安は購入価格の「6〜9%程度」と言われています。基本的に自己資本(現金)で支払う必要があるので、住宅購入の際は事前に準備しておきましょう。
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